
NFTは本当に「終わった」のか?
2021〜2022年のNFTバブルは、多くの人にとって忘れられない記憶だろう。Bored Ape Yacht Clubのフロア価格が一時300ETHを超え、CryptoPunksはセレブのプロフィール画像の定番となった。
しかし2023年に入ると市場は急落。「NFTは死んだ」「ただのJPEGだ」と揶揄する声がSNSを席巻した。
ところが2025年11月現在、状況は再び変わっている。
OpenSeaの月間取引高は2024年後半から連続で前年比プラスに転じ、Solana系NFTの出来高はEthereumを上回る月も出てきた。企業による本格参入も止まらない。
「NFTは終わった」という言説は、実はあまりに早計だったのかもしれない。今回は、2025年現在のリアルな市場状況から、2030年に向けた未来像までを徹底的に見ていきたい。

1. 2025年現在のNFT市場、リアルな状況
まず数字から見てみよう。2025年10月のデータ(Dune Analytics基準)では、NFT全体の月間取引高は約9.2億ドル。前年同時期の約3.1億ドルから約3倍に回復している。
チェーン別では、Solanaが42%、Ethereum(L2含む)が35%、Bitcoin Ordinalsが12%と続く。特にSolanaは低コスト・高速決済が受け、Pudgy PenguinsやMad Ladsといったプロジェクトが牽引している。
一方Ethereumは、Blurのシーズン報酬やBlastのエアドロップ効果でL2への移行が加速。BaseとPolygonがシェアを急速に伸ばしていた。
ブルーチップと呼ばれる老舗プロジェクトも底打ち感が強い。
BAYCのフロアは70ETH前後で安定し、AzukiはElementalsの失敗を乗り越えて40ETH台を回復。企業系ではNikeの.SWOOSHが累計売上2億ドルを突破、Reddit Avatarは4,500万個以上がミントされた。
2. 技術が進化する3つの軸
市場回復の裏側には、確実な技術進化がある。
① L2・L3の爆発的普及
2025年現在、Ethereumメインネットのガス代でNFTを買う人はほぼいない。Base、Blast、zkSync Era、Abstractなど、1トランザクション0.01〜0.03ドルで済む環境が当たり前になった。
② アカウント抽象化(ERC-4337)の本格実装
メールアドレス+パスワードだけでウォレットが作れる。シードフレーズを失くす恐怖がなくなり、ソーシャルリカバリーも標準装備。初心者が「ウォレットを作る」ハードルが劇的に下がった。
③ ゼロ知識証明の実用化
プライバシーを守りながら所有権を証明できるzkNFTや、譲渡不可のSoulbound Token(SBT)が実サービスに降りてきた。学歴・職歴・医療記録などを安全に持ち運べる時代がすぐそこまで来ている。
3. ユースケースが「投機」から「実用」へシフト
かつてのNFTは「右肩上がりを信じて買う」投機商品だった。しかし2025年は、明確なユーティリティを持つNFTが主流になりつつある。
・音楽業界では、Royalやanotherblockを通じてアーティストがロイヤリティを永続的に受け取れる仕組みが拡大
・ライブチケットのNFT化も進み、黄ばん防止+二次流通手数料がアーティストに還元されるモデルが一般的になりつつある
・ゲームでは『Parallel』『Illuvium』などが「真の所有権」を実現。アイテムを売って生活するプレイヤーも現れた
・リアルワールドアセット(RWA)のトークン化も加速。不動産の小口所有権や債券をNFTとして発行するプロジェクトが急増している
・ブランド側は「会員証NFT」が主流に。スターバックスやNikeは、NFT保有者だ

4. 規制と法整備の最新動向
規制の動きも無視できない。
EUでは2024年末にMiCAが完全施行され、NFTは原則として金融商品扱いから除外されたが、投資商品化されたものは規制対象に。これが逆に信頼回復につながっている。
アメリカではSECが2025年に入り「十分に分散化されたNFTコレクションは証券ではない」とのガイドライン案を提示。業界にとっては朗報だ。
日本でも金融庁が2025年6月に「NFTガイドライン」を公表。資金決済法・金商法との棲み分けが明確になりつつあり、大企業が参入しやすい土壌が整いつつある。
規制が明確になる=投機家は離れるが、真面目にユーティリティを作るプロジェクトが残る。これが健全な市場形成の第一歩だ。
5. 2030年に向けた3つの未来シナリオ
ここからは少し先を見据えて、2030年のNFTがどうなっているかを3つのシナリオで描いてみる。
シナリオA「メインストリーム化」
AppleがVision Proの次世代モデルでネイティブにNFTウォレットを搭載。GoogleもAndroidに標準搭載。10億人規模が「デジタル所有権」を当たり前に使う世界が到来。
シナリオB「ニッチな高級市場」
物理アートや高級時計と同じポジションに落ち着く。数十万円〜数千万円の本当に価値あるデジタル資産だけが生き残り、一般人はほとんど触らない。
シナリオC「新たな技術に取って代わられる」
AIエージェントが所有権を管理する時代が到来し、NFTという形式自体が時代遅れになる。ブロックチェーンは裏側で動き続けるが、表に見えないインフラ化。
個人的には、シナリオAが70%、Bが25%、Cが5%くらいの確率だと思っている。というか、希望的観測だな。
結論:今、NFTに賭けるべきか?
2025年現在の結論を一言で言うなら――
「投機目的ならまだ様子見でいい。でも『デジタル所有権の未来』に賭けたいなら、今が仕込みどきだ」・・・・ということ。
では、個人として準備すべきこととは何だろう?
とりあえず、三つ。
1. せめて1つは自己管理ウォレットを作っておく
2. ユーティリティが明確なプロジェクトを少額で体験してみる
3. プライバシー保護技術(zkなど)の進化をウォッチする
企業であれば、会員証・ロイヤリティプログラム・チケットのNFT化を真剣に検討すべきタイミングだと感じる。
最後に、あなたに問いかけたい。
あなたはNFTのどの未来を信じますか?
そして、あなたの希望的観測はどんな感じですか?
希望的観測を錬り始めれば、未来に備えての行動となる。
さて、今日何をしますか?
デジタル所有権の歴史は、まだ始まったばかりだ。




