蔵書目録

明治・大正・昭和 音楽:声楽、作曲、提琴、洋琴、西洋舞踊、女子教育。目録:煙火、蓄音器、楽器、音譜。事件:二・二六事件、文革、北京之春

「ヤシャ・ハイフェッツ氏 バイオリン大演奏会曲目」 (1923.11)

   

ヤシャ・ハイフェッツ
  バイオリン大演奏會曲目Ⅰ

 大正十二年十一月九日(金曜日)十日(土曜日)十一日(日曜日)午後四時開演 白券 十円 青券 六円
       帝劇經営 帝國ホテル演藝塲にて

第一日(九日金曜)曲目

 一、シャコンヌ          ‥‥‥ トーマソ・ヴィタリ作 レオポルド・シャーリエ編
 二、コンセルト(短に調)     ‥‥‥ ウ井ーニアウスキー作
     アレグロモデラー
     ローマンス・アンダンテ・ノン・トロッポ
     終曲、 ア・ラ・ツィンガラ
   -休憩-
 三、(イ)アベ・マリア      ‥‥‥ シューベルト
   (ロ)ミヌエット       ‥‥‥ モッツアルト作
   (ハ)ノックターン(長に調) ‥‥‥ ショパン作 ウィルヘルミ編
   (ニ)苦行僧の合唱      ‥‥‥ ベートーベン作 アウァー編
   (ホ)土耳古行進曲      ‥‥‥  〃
 四、(イ)メロディー       ‥‥‥ チャイコウスキー作
   (ロ)ロンド・デ・ルタン   ‥‥‥ バッチニ作

       ピアノ伴奏 イシダー・アクロン氏

     スタインウエーピアノ使用(竹内樂器店提供)

〔蔵書目録注〕 

   

 上の写真2枚は、次のものである。

左:『寫眞報知』 第壹卷 第七號 大正十二年十一月十八日發行 に掲載。

          世界的ヴァイオリンの名手
     ハイフェッツ氏が初演奏(九日夜帝国ホテル演藝場で)

右:『寫眞報知』 第壹卷 第八號 大正十二年十一月廿五日發行 に掲載。

      ハイフェッツ氏の野外演奏
     日本罹災者の義捐金募集のために日比谷音樂堂で     

 また、 下の文は、大正十二年十一月十四日発行の『アサヒグラフ』 第一巻 第一号 創刊号 に掲載されたものである。

 楽壇の若き天才

  『新たに熟せんとする果物』
     本年二十四歳のハイフェッツ

 世界的大提琴家ハイフェッツ氏は九月下旬帝劇で演奏会を催す筈であったところ、震災の為め中止となって氏は一時支那へ赴いたが、来朝の志望を断念せず本月七日上海から来朝して、九日より三日間帝国ホテルの演芸場で演奏会を開き、荒廃した帝都に芸術復興の第一幕をあげた。

 ヤッシャ・ハイフェッツ氏は千八百九十九年露西亜のウイルナに生まれた、だからことしは二十四歳である。さう言ふ若い世界的のヴァイオリンの天才である。幼時からその匂ひの濃いものがあって、型の如く、露都のレオポルド、アウワア門下となって世に出た。
 露都戦乱と同時に、西伯利線で浦潮斯徳、敦賀、横浜を経て米国に行った。アメリカの初舞台は千九百十七年、カアネギイ・ホールで演った、一躍して米大陸の人気者になった。アメリカの批評家は氏を指して『新たに熟せんとする果物だ』と言った人がある。新秋の果物の新鮮な大地の匂ひを、氏の芸術に聴くことができたのは快心なことである。