2025年12月18日

夕焼け

夕焼け

DSC06410.jpg

 ■夕焼け 高田a敏子

 夕焼けは
 ばら色
 世界が平和なら
 どこの国から見ても
 どこの町から見ても
 夕焼けは
 ばら色

 夕焼けが
 火の色に
 血の色に
 見えることなど
 ありませんように。

IMG_0685b.jpg

 公園を散歩しているとたまに息をのむほど美しい夕焼けに出会うことがある。その色はオレンジ色だったり、赤紫色だったり、真紅だったりその時の気象条件で異なるし、時の変化とともに刻々と彩りを変え見飽きることがない。遮るもののない公園の広い空をじっと見つめていると、やがて上空から見事な藍色の夜の帳が降りてきて気が付くと青い光に囲まれている。

 この空の下できっと色々な人が今この夕焼けを見ているのだろうなぁ。バラ色に染まった見事な夕焼けを今日一日頑張ったご褒美のように眺めている人がいる一方、悲しみの底で心に滲む赤黒い血の色を思う人、怒りで燃え盛る真っ赤な炎を想起する人、見えているものは同じでも心に映るものは同じではない。というよりぼくらは夕焼けそのものではなく、そこに写されている自分たちの心を見ていると言っていい。だからそれぞれに見え方は違っても、夕焼けの空を覆う光そのものはそれを超越した美しさをたたえており、それに意味を与えているのは人間の心だという事になるのかもしれない。

 ぼくはセバスチャン・サルガドの写真が好きで、かつてサルガドが写真集「アフリカ」を発表した時その写真展を見に行ったことがある。サルガドが撮ったアフリカは、どんな悲惨な光景でも透徹した美しさを持っている。モノクロの画面の向こうに広がるのは惨劇さえも包み込みそして愛しむような光だ。ルワンダ内戦の局面でさえそうなのだ。

 ぼくはその美しすぎることが気になっていた。事実、評論家などの中にもサルガドのアフリカは悲惨な現状を美しく撮りすぎていると批判をする声もあった。それに対しサルガドはこう語っていた。「光はフランスや日本などの豊かな国にのみあるのではない、美しい光はあらゆるところに与えられている。…美しさは写真家が作り出すものではない、そこにあっただけなのだ…」と。そこにある美そのものを見つめること。だがそれは誰にでも出来ることではない。ぼくらが見るのは、やっぱりそこに写しだされた自分の心なのだろう。

DSC07259b.JPG

かえで.gif


posted by gillman at 14:02| Comment(11) | 新隠居主義 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
刻々と変化する空の色、やがて訪れる静寂、、、。
同じ空を見ていても感じることは人それぞれなのでしょうね。
Posted by ZZA700 at 2025年12月21日 00:35
心象風景という世界もありますね。
Posted by gillman at 2025年12月21日 14:49
特に晩秋は夕焼けがハッとするほど綺麗ですよね。
私も車に乗っていて最後のお写真のような光景を目にしました。
もちろん富士山付きです^^
Posted by kuwachan at 2025年12月22日 21:16
夕焼け富士はことさらに美しいですね。
Posted by gillman at 2025年12月23日 08:07
意味を与えているのは自分の心なのでしょう
一緒に見ているようで全く違うものが映し出されているかもしれません
Posted by SWEET at 2025年12月23日 22:33
同床異夢みたいなことかもしれませんね。しかしその壁を何とか埋めようとして人類は言葉とかいろいろな表現方法を使うようになったのかも…
Posted by gillman at 2025年12月24日 10:01
同じものを見ていても、人それぞれ感じ方が違う。
そこにうつし出されるのは自分の心、まさにその通りだと思います。
夕焼けの茜色を美しく思えるのは幸せなのかもしれませんね。
Posted by ゆきち at 2025年12月24日 13:02
こんにちは。
セバスチャン・サルガドの写真には神々しさを感じます。評論家の「アフリカは悲惨な現状を美しく撮りすぎていると批判をする声」ですが、多分それを超越した写真「本質的な美しさ」を収めた写真と思います。また「・・・自分の心」心理学の観点から見ると投影?と言う概念かな?人それぞれで、面白いですね!?(=^・ェ・^=)
Posted by Boss365 at 2025年12月24日 13:28
ゆきちさん>
美しいものを前に虚心坦懐にそれを味わうのには心に余裕がないと…ですね。

Boss365さん>
サルガドの美は奥が深いですね。
Posted by gillman at 2025年12月24日 15:30
素晴らしい言葉を聞きました。
たしかに美しいものはそこにあるんですよね、それが見出せないのはほかの理由があってのことかも。関東地方の、冬の夕方が好きです。夕焼けの中の富士山のシルエットも好きです。
Posted by ナツパパ at 2025年12月25日 10:52
シルエットの世界は色彩を失った形だけの世界で幻想的で好きです。
Posted by gillman at 2025年12月25日 16:22
コメントを書く
コチラをクリックしてください