昨年12月に配信開始となったNetflixの韓国映画『大洪水』を観ましたので、今回はそのレヴューです。
予告は貼りません。前情報は少なめほうが楽しめると思うので…。とはいえ、いきなり『大洪水』というベタなタイトルだけでは、なかなか観る気になれませんよね。私もツイッターであれこれ情報が回ってきたので観た、という感じでした。予想外の展開が楽しめる実験的作品で、おすすめです。
この映画については様々な解釈がなされていますが、私の解釈では、前半のシーン(最初の洪水~宇宙船と小惑星の破片が衝突まで)は現実ではないかと思います。まぁ、実際その筋で考えている方が多いように思う。この記事ではそのような解釈の元であらすじを書き、なぜそう思ったのか、についても考察していきます。
この記事のここから先は、完全ネタバレ記事となります。未見の方はくれぐれもご注意ください!
- Netflix映画【大洪水】の作品概要
- 大洪水の主なキャスト【ネタバレあり】
- 映画【大洪水】のあらすじ
- Tシャツの数字はシミュレーションの試行回数
- 1周目の洪水が現実だと思った理由
- ジャインの絵のシーン
- 意味不明・わからないと言われる理由を考察
- Netflix映画【大洪水】の感想
- まとめ
Netflix映画【大洪水】の作品概要
原題:대홍수(英題はThe Great Flood)/上映時間:108分/製作年:2025年
監督:キム・ビョンウ
脚本:キム・ビョンウ、ハン・ジス
出演:キム・ダミ、パク・ヘス、クォン・ウンソン、ユナ、パク・ビョンウン、チョン・ヘジンほか
ディザスター・パニック映画に見せかけといて、実はSF要素の濃い映画。監督は『テロ,ライブ』を手掛けたキム・ビョンウ。
大洪水の主なキャスト【ネタバレあり】
ク・アンナ(演:キム・ダミ)
AI研究所勤務。感情エンジン開発部の主任。高層マンションの3階に住むシングルマザーで、息子のジャインと2人暮し。
キム・ダミは有名な韓国ドラマ『梨泰院クラス』などで知られているようです。私は観てないですが、本作の演技、水泳など大変だっただろうなと思います。
ソン・ヒジョ(演:パク・ヘス)
研究所のセキュリティチームの要員。力強い声で、アンナに避難するよう警告する初登場シーンが印象的でした。その後も、なぜかすぐにアンナを見つける。向かいの建物から大声で叫んだりして、すぐに飛んで来てくれるの最強でしょ。
演じているパク・ヘスは『イカゲーム』のサンウ役で有名。
ジャイン(演:クォン・ウンソン)
アンナの息子。実はヒューマノイドで、企業からはニューマン77と呼ばれている。母アンナによって開発された。
この男の子の素朴な子供らしい演技に、好感が持てました。リアルな子供って時にちょっとウザくてこんな感じだよね、みたいな表現が上手い。
イ・ジス(演:ユナ)
祖父母に会うため、マンションに来た際エレベーターに閉じ込められてしまった女の子。アンナに助けられつつ逆にアンナを支えているようなキャラクター。
演じているのはユナ。この方のことをよく知らなかったのですが、ドラマなどに出演されている名子役俳優のようですね。
イム・ヒョンモ(演:チョン・ヘジン)
AI研究所勤務。感情エンジン開発部の部長で、アンナの上司にあたる。アンナと同じくヒューマノイドの子供を育てていたが、洪水の日、先を見越して逃走した。子供を回収されてしまうと気づいたんですね。回想シーンのみの登場。
映画【大洪水】のあらすじ
ここからは、映画『大洪水』のあらすじを整理して考えてみます。
1周目のパート(現実)
地球最後の日。小惑星が南極に落ち、溶けた水が海水に混ざったせいで未曾有の洪水が世界中を襲った。ソウルの高層マンションの3階に住むアンナも、部屋の中に水が入って来て、びっくり。マンション内では、管理事務所から上層階へ避難するようアナウンスが流れていた。アンナが勤めている会社のセキュリティチームのソン・ヒジョという男から電話がかかり、救助に来たから今すぐ上の階に避難しろ(`ェ´)と警告される。
アンナは世界に2人しかいない感情AIの開発者で、優遇されているようだった。息子のジャインを連れて、ドアの外に出ると、マンションの住民が皆パニクっている。非常階段は大渋滞。人が多くて、なかなか上へ登れなかった。
そうこうしているうちにアンナはジャインとはぐれ、最悪のタイミングでまた波が押し寄せた。水の中でもがいているアンナとジャインを、ソン・ヒジョが見つけ救助。その後ヒジョから事情を聞かされる。今日で人類は滅亡するから、アンナはAI用感情エンジンを使い、新人類を作れとさっそく任務を言い渡された。えーそんなの無理です(泣)とアンナ。
その後ジャインが、トイレに行きたいと言いだしたり、薬を飲んでないかったため持病が発生したりで、しどろもどろ。2人を屋上へ連れていくのが任務のヒジョは、イラついて早く早くとせかす。エレベーターに閉じ込められていた少女や妊婦を見捨て、なんとか屋上までたどり着いた。
が、なんだか様子がおかしい。実はジャインは世界に2人しかいない、感情を持つ子ども型ヒューマノイド「ニューマン77」だった。開発したのはアンナ。アンナは5年間ジャインと暮らし、育てていたのだ。ジャインの感情AIのプログラムは完成しているが、母親ヒューマノイドはまだ未完成だった。
一方でアンナは、国連の非公式研究機関ダーウィンセンターの特殊研究チームに、迎え入れられることになる。でもジャインはダーウィンセンターの職員たちから拘束され、髪の毛まで剃られた。スキンヘッドにしてデータだけ回収するらしく、その残酷な対応に泣きわめくアンナ。
アンナはジャインも一緒にシェルターへ連れて行けないかと懇願。だがそのシェルターすらも嘘で、実際にはなかった。任務を全うしたヒジョは、職員から射殺されてしまう。
ダーウィンセンターの職員すらもヘリには乗り込めず「自分らはここで死ぬことになる」と話す。アンナはあきらめてジャインの耳元で何か囁き、救助ヘリに乗り込んだ。
そこからイサベラ研究所へ向かうため、宇宙船へ乗り換え。アンナは母親ヒューマノイドの感情AIを開発するため、母が子を捜すシミュレーションを提案した。だがその宇宙船には小惑星の破片が衝突。衝撃でアンナは瀕死の傷を負った。
自分が長くないと悟ったアンナは、自分がシミュレーションの実験体になることを希望。自身の記憶をシステムにアップロードするように、伝えた。(この部分は終盤になってから、ようやくわかる)
2周目以降のパート(シミュレーション)
2周目以降は、実験体となったアンナのシミュレーション。姿を消すジャインを見つけ、ダーウィンセンターの職員に捕まらないよう一緒に逃げることが、主な目的になります。
アンナはベッドで、491という数字の入ったTシャツを着て目覚める。491なので、2周目だが厳密には491回目でその間に490回の失敗があったと思われる。その後、1周目同様ヒジョからの電話が鳴り、避難しろ!(`ェ´)と言われる。
アンナはこのタイミングで「ジャインはいつか、回収される」という女上司との会話を思い出した。
クローゼットに隠れていたジャインが「うそつき!何で僕はずっと6歳?」と、アンナに問う。わー、気づいてるわ。
外に出ると、アンナを捜すヒジョの声。アンナは現実での経験を生かし、ヒジョに見つからないように逃げる。水に飲まれ、ジャインを捜しているうちに車にぶつかり失敗。
ヒジョから心肺蘇生されるアンナ。Tシャツは787に変わっている。その後も回を重ね、アンナは最初の洪水で助けられなかったジスという女の子を助けたり、出産直後の妊婦に寄り添ったりした。
そしてアンナは、ジャインが別れ際の自分の顔を毎回描いて、アンナのスマホに送っていたのだと気づく。アンナはヒジョに「あなたはヘリに乗れない」と伝えた。それ以降ヒジョはアンナに協力的になる。
こうしてついにジャインが、屋上のクローゼットの中に隠れているのを見つける。アンナはジャインを見捨てず、一緒に海へ逃げた。シミュレーション成功。
シミュレーション成功後(現実)
人間らしい感情を学習することでテストに合格し、人間そっくりのボディをゲットしたヒューマノイドのアンナとジャイン。2人を乗せた宇宙船は、地球を目指す。
Tシャツの数字はシミュレーションの試行回数
アンナのTシャツには数字が大きく書かれていて、これでテストの試行回数がわかるようになっているのが面白いです。登場する番号は...
491→787→1931→4007→4006→7893→13417→9311→21499
4007の回想で4006のTシャツを着ているアンナが映ると、前回の失敗がわかったりして、そこもワクワクしました。
1周目の洪水が現実だと思った理由
劇中の1周目の洪水...すなわち最初にアンナが目覚め、屋上まで行き、ジャインと離ればなれにされ、ヘリに乗り込んだ回だけは現実だと思います。そう思った理由は以下のとおりです。
主人公アンナの着ているTシャツに数字がない!
冒頭から、アンナが着ているTシャツは無地です。すなわちこれはシミュレーションじゃないよ!という解釈でいいんじゃないでしょうか。シミュレーションだから、わざわざ番号がふられているんだと思います。よって無地のTシャツを着ている時は、現実。
冒頭に「現在 ソウル」と表示される
序盤の早いうちに、さりげなく「現在 ソウル」と表記されますね。なぜ、わざわざ「現在」と書いてあるのか?だから、そういう意味なのかなと思いました。
シップ内の事故のエピソードの存在理由
もしも全てがシミュレーションだった、という話ならシップ内の事故のエピソードはいらないんじゃないかと思いました。
あの事故がなければ、その後アンナが開発していくはずだった。だけどそれができなくなったので、アンナ以外の生き残りチームが開発側に回り、アンナは実験体になったという解釈でいいと思います。
最初の洪水だけがやけに生々しい
前半は、災害パニック映画の怖さが強調されているように感じられました。リアリティーがあり、観ていても悲しくなる感じ。
しかし2周目以降の描写からは、好奇心が刺激されたせいか、悲しみをあまり感じませんでした。
ジャインの絵のシーン
ジャインは、屋上での別れ際のアンナの泣き顔を毎回描いては、母親に送り続けていました。なんと健気な૮৹˃﹏˂৹ა
しかも、冒頭の絵と違って、めっちゃいい感じに描けてるじゃん。ジャインがアンナを恨んでいない、そして今も待ち続けていることが分かるエモーショナルな場面です。
ずらりと並ぶとゾワッとして、なんかちょっと怖い感じもします。こんなにもたくさんループしているぞと。アンナがシミュレーションの実験体であることを決定付ける、非常に印象深いシーンでした。
意味不明・わからないと言われる理由を考察
filmarksで『大洪水』の評価を見ると、2.9でした。3.8ぐらいはあるかと思っていたので、ちょっとびっくり。こんなに面白いのに!以下で意味不明、わからないと言われる理由について考えていきます。
シミュレーションだと気づかない
「何で、何回も死ぬんですか?」みたいな呑気な質問が、ネット上で多数見受けられました。
災害パニック映画だと思って観たら、ちょっと捻りの効いたSFだったという視聴ジャンル選択の失敗が原因。またはミスリード。
ジャインは最初から人間じゃない
ご存知のとおり、ジャインは人間ではありません。これが本作『大洪水』をややこしくさせたように思います。2周目以降は仮想現実でのシミュレーションですが、1周目の時点で既にジャインはニューマン77というヒューマノイド。
憶測ですが、感情エンジン開発部主任のアンナは、過去5年間、自宅で子供のAIの感情エンジンを育てていたんでしょう。
最初の洪水の時のヒジョのセリフで「どうせ今朝の状態に戻せるんだろ。その子のデータで再現すればいい」というのがあり、混乱させられました。この時観客サイドにはジャインがニューマン77だと知らされてなかったこともあり「えっ!どういう意味???」てなったのは、私だけでしょうか。
回想シーン過多
たびたび、回想シーンが断片的に差し込まれるのでややこしいですね。特に女上司との会話のシーン、宇宙船が小惑星の破片と衝突するシーン、などがたびたび小出しにされるので、整理できず理解しづらかったように思います。
1度目の鑑賞では、女上司が出るにつれ、この人誰?と集中力が切れてしまう感じ。でも2度目の視聴だと、女上司の話している内容が、頭の中にスッと入ってきました。
Netflix映画【大洪水】の感想
階段のパニクっている住民の中に、映画『ミスト』のカーモディみたいな人がいて、ウケました。生け贄を捧げようとかなんとか。さっそく信者を作ってやがる!
もしかして、現実の(過去の)アンナも誰かが作ったニューマンだったら、もっとややこしいし、面白いなとか。いろいろ想像が膨らみました。
人間から母性愛を受け継いだ母AIと、感情を持つ愛くるしい子供のヒューマノイドが新人類。人類絶滅の危機なのに新人類がいれば大丈夫と思えるのは、なんでですか?など突っ込みどころがあるにせよ、かなり目新しく面白い作品だったと思います。
まとめ
要約すれば母性愛・愛を獲得するAIのディープラーニングの過程を、迫力ある映像表現でエモーショナルに描いた傑作。
部分的に使用されたVFXによる水の表現も素晴らしく、リアルで迫力あるディザスター描写を観ることができました。セットの中が水浸しだったりして、撮影自体も大変だっただろうなと思います。最後までお読みくださり、ありがとうございます!












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