Hamapepe’s diary

インド駐在3年。ガイドブックやニュースには載らない「インドの裏と表」をファクトベースで発信中。インドを楽しく紹介します!

【インド医療サバイバル】「即・抜歯」の恐怖を乗り越え、自分の歯を守り抜いた一部始終

インドで生活していると、日本では考えられないような「常識の壁」にぶつかることがあります。中でも私が最も衝撃を受け、そして自分の判断を信じてよかったと痛感したのが**「歯医者」**での体験です。

1. 診察開始3分での「抜歯宣告」

ある日、耐えがたい歯の痛みに襲われ、私はデリー近郊の歯科医院に駆け込みました。

日本では「できるだけ自分の歯を残す」のが美徳。しかし、インドのドクターはレントゲンを一目見るなり、事も無げにこう言い放ったのです。

「あー、これはひどいね。よし、今すぐ抜いちゃおう(Extract it!)」

あまりの決断の速さに、私は耳を疑いました。治療の選択肢や説明などは一切なし。「痛いパーツは取り除く」という、あまりにも直球で破壊的な解決策を提示されたのです。

2. インド人同僚の意外な反応「なんで抜かないの?」

不安になった私は、職場のインド人同僚たちに相談しました。すると、追い打ちをかけるような答えが返ってきました。

「え、歯が痛いなら抜くのが一番スッキリするじゃないか。僕もこの前抜いたし、みんなそうしてるよ。何度も通うより楽だよ?」

彼らにとって、抜歯は「敗北」ではなく、最も合理的で手っ取り早い「解決」だったのです。インドの多忙なビジネス社会では、何度も通院が必要な根管治療(RCT)よりも、1回で終わる抜歯こそが「タイパ(タイムパフォーマンス)の良い治療」として受け入れられているという驚きの現実を知りました。

3. 起死回生のセカンドオピニオン

「このままでは大切な歯が失われる」――危機感を感じた私は、ドクターと向き合い「Save the tooth(歯を残したい)」と強く主張し、その日は治療を断って別のクリニックへ向かいました。

いわゆるセカンドオピニオンです。次に向かったのは、保存治療に定評のある少し高価なクリニック。そこで再診を受けた結果、返ってきたのは希望の言葉でした。

「時間はかかりますが、この歯は治療して残せますよ」

数週間にわたる通院。同僚たちからは「まだやってるのか」と呆れられましたが、私は納得のいく治療を終えることができました。

4. 日本での「答え合わせ」がもたらした確信

とはいえ、ここはインド。治療が完了しても「本当に大丈夫だったのか?」という不安は心のどこかにありました。その答えが出たのは、帰国後に日本の馴染みの歯医者を訪れた時です。

事情を話し、インドで治療した歯をレントゲンで診てもらうと、先生は驚いたようにこう言いました。

「うん、全く問題ありませんね。根の先までしっかりと薬が入っていて、丁寧に治療されていますよ。これなら安心です」

この瞬間、私のインドでの「戦い」は報われました。インドには「すぐ抜く」という極端な文化がある一方で、正しく探せば、日本の一流医が認めるほどの高い技術を持つドクターも確実に存在していたのです。


【教訓】インドで自分の身(歯)を守るための3か条

今回の体験から、インドで医療を受ける際に欠かせない「サバイバル術」が見えてきました。

  1. 「郷に入れば郷に従う」は禁物: 周囲が「抜けばいい」と言っても、自分の価値観を貫くこと。

  2. 専門用語を武器にする: 「Save the tooth(歯を残したい)」「RCT(根管治療)を希望する」とはっきり伝える。

  3. セカンドオピニオンは「必須工程」: 1軒目の極端な診断を鵜呑みにせず、納得いくまで別のドアを叩く。

カオスなインド医療。その異常とも言えるスピード感に流されず、自分の意志で選択を勝ち取ることこそが、健康な体(と歯)でサバイブする唯一の道なのです。