進学塾enaを運営する学究社は、中学受験をする小6生対象に「入試直前必勝特訓」を実施することになっていたが、今年から1月の平日9時から16時に実施回を設定していたが、諸般の事情により中止になることを発表した。この背景には、学校の授業を欠席することを前提としていることに対して、インターネット上でやり過ぎであるという批判の声が大きかったことが影響をしているだろう。今回は、さまざまな角度から、この入試直前必勝特訓はどうあるべきであるかを考えてみたいと思います。
まずは、このような「入試直前必勝特訓」が平日に生まれた背景としては、ある程度の需要があると学究社が考えたからであることは間違えないでしょう。実際に、塾選ジャーナルが子どもをもつ保護者100名を対象に行ったインターネットのアンケート調査では、約32%(3人に1人)が入試直前期に学校を休ませており、そのうち休ませた保護者の約71%が12月・1月から学校を休ませている現状にあります(母数が多いともう少し信憑性はありますが)。このことを考えると、倫理的な問題はおいておけば、一定の需要があることは間違えなかったでしょう。また、中学受験をする保護者は、小学校を休んだ場合は、自宅学習の管理をしなければいけない環境を踏まえると、塾に行ってもらった方が分からないところも質問出来ることや勉強をしているだろうという安心感は大きいため、ニーズにマッチをしていたでしょう。しかし、これは中学受験をする保護者の中に限った話であり、世間一般的に考えれば、義務教育である小学校を休ませることを前提とした特訓に関しては、SNSにどんどんと拡散をされて、会社に対する風当たりは厳しく、倫理的にどうなのかと問われてしまい、中止という決断になったのでしょう。enaと言えば、このような企画力にインパクトがある取り組みは、今年の夏休みの22泊23日の合宿はその1つであり、費用50万円で実施をしたことは話題になり、多くの参加者により大成功をもたらした結果、増収の結果を得ている(2026年3月期中間期決算説明会資料より)。今回は行き過ぎた内容となってしまいましたが、中学受験をする保護者からすれば好感をもてるものであり、一定の需要があったことは間違えないでしょう。
ここまでさまざまな立場からお話をしてきましたが、会社はどこまで倫理観を守るべきかを考える必要があるでしょう。例えば、同じ小学生であっても「家族旅行で学校を休むときに宿泊したホテル」、「学校がある日に保護者とテーマパークに行くときのテーマパーク会社」はこのような批判をされるかどうかと言えば、ホテルやテーマパークに入れた会社の信用が落ちることはないでしょう。このことを同じジャンルの学校と塾を同一視できないこともありますが、倫理観には感覚的なものが多い中で、何が基準なのか分からない中で、どこが線引きなのかは難しい問題に直面をしているのかもしれません。
【参考文献】
中学受験「1月平日午前から開講の新講座」中止へ…進学塾「ena」 SNSで「明らかに行き過ぎ」批判集まる(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース
中学受験「1月に小学校休むか問題」に"異変"あり? 欠席賛成派も「やり過ぎ」眉をひそめる実態とは | AERA DIGITAL | 東洋経済オンライン
【2025年最新】中学受験で学校を休む人は3割!「罪悪感」なしの後悔しない選択とは|塾選ジャーナル
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