
片親疎外(Parental Alienation)とは?
片親疎外(Parental Alienation)とは、離婚や別居後に一方の親(疎外親: Alienating Parent)が、子どもに対してもう一方の親(標的親: Target Parent)を意図的に悪く言い聞かせたり、接触を妨害したりすることで、子どもが標的親を拒絶し、関係を断つようになる現象を指します。この現象の特徴は、子ども自身の自主的な意思ではなく、疎外親の心理的操作によって引き起こされる点にあります。
片親疎外は精神的虐待の一形態であり、子どもの健全な成長を阻害する重大な問題です。本記事では、片親疎外の具体的な兆候や影響、証拠の集め方、そして正しい対処法について、科学論文や書籍をもとに解説します。
片親疎外や親子断絶について日本語の書籍や論文を知りたいとのお問い合わせを受けてこの記事を書いています。しかし、日本は単独親権制度が長く続いている影響もあり、片親疎外の研究や調査は世界的に見ても遅れています。そのため、入手可能な情報は限られていますが、現時点で参考になる文献を最大限ピックアップしました。加えて、私自身が翻訳した資料やNote記事も紹介します。
片親疎外(Parental Alienation)の概念は1985年にリチャード・ガードナー博士によって提唱され、「片親疎外症候群(PAS: Parental Alienation Syndrome)」として広く知られるようになりました。当初、PASは子どもが一方の親を拒絶する現象として説明されましたが、現在ではより広範な概念である「片親疎外(PA: Parental Alienation)」という表現が主流となっています。
- 片親疎外(Parental Alienation)とは?
- 日本の片親疎外:典型的な現れ方と認識のされ方
- 3. 片親疎外に関する書籍と科学的知見
- 片親疎外の証拠と証明
- 毒親と片親疎外の関係
- 片親疎外に関する書籍と論文 まとめ
日本の片親疎外:典型的な現れ方と認識のされ方
日本では、別居や離婚に際して、疎外親が別居親との子どもの面会を言い訳や屁理屈を使って妨害し、そのうち「私じゃない、子どもが会いたがらない」と言い出すケースが多く見られます。このような場合、子どもへの洗脳が実際に行われているとみるべきで、そのまま片親疎外が進行すると、子ども自身が標的親を拒絶するようになります。
さらに、日本の家族法制度では、単独親権制度が採用されており、親権を持たない親(非監護親)が子どもとの面会を求めても、裁判所の判断次第では制限されることがあります。このため、疎外親が巧妙に面会を妨害するケースが多く、それが片親疎外を助長する要因となっています。
3. 片親疎外に関する書籍と科学的知見
片親疎外の研究と書籍
日本では単独親権制度の影響もあり、片親疎外に関する研究の進展が遅れています。そのため、日本語で読める専門的な書籍や研究論文は限られています。
私はアメリカ在住で片親疎外を経験し、この問題について学び続けてきました。日本語に翻訳されたアメリカの研究者の書籍や論文を探しましたが、以下の一冊しか見つかりませんでした。
離婚毒ーDivorce Poison-
この書籍では、片親疎外の本質や、それが深刻な児童虐待であることが詳しく解説されています。
また、対処法として、疎外を受けた子どもが標的親と積極的に時間を過ごすことの重要性が述べられています。この本が書かれた当初は、経験則に基づいた対処法として紹介されていましたが、その後の研究によって科学的な調査を伴った証拠が示されました。
Journal of Family therapy, 2017, 39:279-298.
Journal of Family therapy, 2022, 44:103-122.
私のNote記事でも取り上げています。
You're not crazy
邦訳版はまだないようですがこちらも参考になります。
👉You're not crazy
私は著者のDr. Steinbergに私のケースのレポート作成をして頂きました。子どもの立場と親の立場の両方での片親疎外を経験を持つ信頼できるforensic psychotherapistです。
公式サイト👉Lynn Steinberg PhD
実子誘拐ビジネス
本書は「実子誘拐ビジネス」の実態について詳しく掘り下げています。親による子の誘拐がビジネスとして成り立っているという現実は、非常に衝撃的ですが、紛れもない事実です。
片親疎外の問題が世界的に解決の難しい理由の一つに、「利権の存在」が挙げられます。親子の断絶や片親疎外によって利益を得る者がいるためです。争いが長引けば長引くほど、利益を得る仕組みがあるため、本来であれば迅速に解決できる問題であっても、意図的に対立が助長され、解決が妨げられることがあります。こうした構造的な問題が、片親疎外の根深さを物語っています。
離婚で壊れる子どもたち
こちらの本の第五章が片親疎外について書かれています。
実子誘拐ー子供の連れ去り問題
実子誘拐をマンガで分かり安く示したものもあります。
片親疎外の証拠と証明
片親疎外を証明するためには、適切な証拠を収集することが不可欠です。詳細な証拠の集め方や具体的な方法については、以下のNote記事で詳しく解説しています。
▶ 片親疎外の証拠集めと証明方法
おろらく、同様の内容かと思いますが、電子書籍もあります。
著論文の入手方法や翻訳についての情報は、以下のリンクから確認できます。
▶ 原著論文の入手法と翻訳
毒親と片親疎外の関係
片親疎外の主な原因は疎外親が抱える自己愛性パーソナリティ障害(NPD: Narcissistic Personality Disorder)です。これは「毒親」も同じです。NPDは、自己の支配欲やコントロール願望のために子どもを利用し、離婚に際しては、ほぼ必ず片親疎外を行います。彼らは子どもに対し、標的親への不信感を植え付け、心理的な支配を強めることで、疎外を固定化させてしまうのです。
アメリカのある研究者は、次のように述べています。
"Parental alienation is a narcissist's favorite weapon."
(邦訳:片親疎外は、自己愛性パーソナリティ障害者が最も好む武器である。)
この言葉が示す通り、片親疎外は単なる親権争いではなく、NPDによる精神的な操作と支配の一環として行われる深刻な問題なのです。
片親疎外に関する書籍と論文 まとめ
片親疎外は、親子関係だけでなく、子どもの長期的な成長や心理状態に深刻な影響を与える問題です。本記事で紹介した書籍や論文を参考に、より深く学び、適切な対応を取る手助けになれば幸いです。
しかし、共同親権国であるアメリカにおいても、片親疎外による親子断絶は頻繁に発生しており、多くの親子が引き裂かれています。残念ながら、司法制度は世界共通で疎外親に有利に働く傾向があり、私自身も子どもたちと何年も会えていません。
こうした書籍や論文を紹介しましたが、経験者として、また、複数の親子断絶ケースを見てきた立場から強調したいのは、「司法に頼らない解決法を最初から想定しておくこと」です。信じがたいことですが、司法が助けにならないどころか、結果的に疎外親を利し、児童虐待を容認してしまうケースも少なくありません。
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